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かぞくのくに:ヤン・ヨンヒ [Cinema]

久々に映画を見た。久々に見る割には、劇場に向かう車に乗るまでその映画のタイトルを知らなかった。
なにしろ映画好きの友人に半ば強制的に連れて行かれたので、劇場へ向かう車の中ではじめて映画のタイトルを聞いたのだった。
映画のタイトルは「かぞくのくに」。
監督はヤン・ヨンヒ監督。
大まかな映画のあらすじは1974年に「帰還事業」で日本から北朝鮮に渡った兄が病気の治療の為に25年ぶりに日本に戻り、家族と3ヶ月にわたり生活をするというもの。
実際には(北朝鮮にはよくあることらしいのだが)3ヶ月の予定は、すぐに中止となり北朝鮮からの命令でわずか数日で帰国する事になる。
さて、劇場へ向かう車の中では映画のタイトルと監督の名前を聞かされただけで、実はその時には監督が在日(3世)であることや、映画のあらすじを全然知らなかった。
つまり、ほとんど映画の予備知識なしに映画を見たことになる。
映画を見てると、なんだか安藤サクラに似てる女優がいるなぁと思ったら、本人だった。
久々に見る安藤サクラは落ち着きが出てきたというか、ごく自然な演技をするようになったなぁと思った。
その分、以前の不思議なオーラはあまり感じられなかった。
ちなみにこの映画で彼女はキネ旬の主演女優賞を、他の作品で助演女優賞を受賞したそうだ。
自分はこの映画の彼女よりも小池さんな彼女が好き。
で、この映画を見るにあたり、あらかじめ知っておいた方が良いと思われる予備知識。
北朝鮮は1959年12月から1984年までの間に在日朝鮮人を北朝鮮に帰国させるという国を挙げての「帰還事業」を行った。
今だとあの北朝鮮に誰が行くものかと考えるのだが、あの頃の北朝鮮は韓国よりもGNPは高く、軍事政権だった韓国よりもはるかに生活をしやすい国(地上の楽園)だった。
当時、社会主義はある種の理想郷でもあったらしく、北朝鮮と日本(朝日から読売まで声を揃えて)はこぞって帰国させようとしていた。
ちなみに井筒監督の「パッチギ!」のラストシーンは電車に乗ってどこかへ向かう一家の風景だが、向かう先はレオポンのいる動物園ではなく、新潟から北朝鮮に向かう帰国船だったらしい。
ところが、実際に北朝鮮に渡った人たちは大変な思いをしたらしい(「血と骨」のラストで少しだけ描かれてますね)。
それから、僕たちは「在日」とひとくくりにいってしまうけれど、正確には在日韓国・朝鮮人が正しく、ここにも北と南は違うのだと主張があります。
つまり、北の在日朝鮮人と南の在日韓国人ですね。

......と書いていくと、いかにも政治的なお話のように感じますが、映画はそれらが背景のある在日の家族(特に兄と妹)の話です。
もう少し、父親や監視員が描かれていると、どうして兄が「帰還事業」で北朝鮮に渡ったのか、そして、どうして治療の為に日本へ一時帰国が許されたのかがわかるんじゃないかと思った。
キネ旬では2012年のベストに選ばれたけれど、自分としてはいかにも私小説的なところが受け入れられなかった。
.....まぁ、家族の話なら私小説的になってしまうんだけどね。

ところで、へそ曲がりな自分は、現在の北朝鮮をとても危険な(アメリカが言うにはならず者国家)国だとマスコミがいうけれど、実際のところはどうなんだろうか?と考えてしまう。
もちろん、あの国からの情報があまりないというのがそもそも怪しいことだけれど、マスコミが言う事を丸呑みする事はちょと怪しみたい。
なにしろ、あの「帰還事業」も実のところ朝鮮に帰国させたい思惑もどこかにあり、マスコミが声を大きくしたからこそ、93,000人あまりの人たちが帰国したんだと思う。
実際には「地上の楽園」どころではない所へ、多くの人たちを送った責任の一端はあるんじゃないかと思うのだ。

ところで、監督は僕たちが言う「在日」の事を「移民」と言う。
そう、そう呼ぶのは間違いではなく彼らを「移民」と呼ぶ事で、もしかするとちょっと意識が変わるような気がする。
「移民」という言葉が新鮮に聞こえた。

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映画の原作になる「兄〜かぞくのくに」にはこの映画に描かれていないエピソードがたくさんあるそうです。
「在日」を考える時に、ひとつの家族を通して考えてみると、違う事もわかってくるかもしれませんね。

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